※この作品は2019年の過去ブログに掲載された作者の独断と偏見による戦争シミュレーションです。史実と異なる上、実際の人物、国、民族は関係ありません。
■206×年~ 中国夢の終焉と日本分裂
第三次世界大戦終結後、それまで中国の支配を受けてきた東南アジア諸国はその支配から逃れ、再び発展の道を歩み始める。また、西太平洋ではインドが地域覇権国としての存在感を増す一方で、同じ戦勝国であるはずのロシアとアメリカとオーストラリアは戦争にかけた投資以上の利益が得られず衰退していった(特にロシアとアメリカは多数の都市を核攻撃されたため、その復興に想像以上の時間と費用を要した)。
一方、中国と高麗、そして日本はそれぞれ戦勝国に分割統治される事になる。そして、そのほとんどが分割されたまま国家として再建するか他国の領土と化した。
●統一高麗の戦後処理
高麗軍は戦後、モンゴルとロシアに分割統治され中蒙戦争での戦争犯罪を(特にモンゴルに)しっかりと追及された。その後、高麗人のひたむきなナショナリズムが功を奏して独立と再統一を勝ち取るが、すぐに中国東北部に勢力を伸ばした瀋陽共和国(後述)に服属することになる。
●中国の戦後処理
戦後モンゴルとロシア、インドに分割統治されベトナム民主主義共和国が主権を回復した他、東トルキスタン第二共和国やチベット国、台湾連邦(琉球を含む)が正式に国家として認められた。残った領地は戦争責任を負わなかった中部戦区軍司令員が復興を指導しようとするが、住民たちの自由への渇望を抑えることができず四分五裂となってしまう(司令員は後にロシアに亡命した後、同族の隠れ皇帝崇拝者に暗殺された)。結局、華北から中南までの内陸部は小国が乱立する不安定な地域となり事実上モンゴルやインドの管轄下に入る。そして、東北部と華東は戦争終盤から勢力を伸ばしていた瀋陽共和国政府が国家建設を成し遂げた(これが後にチャイナと呼ばれるようになる)。
瀋陽共和国は民主制を取り入れたものの、重要なポストに元共産党員やその家族が就くことを禁じた(再び共産党が権力を握るのを防ぐため)。結果、長い間結社時代の要人が幾度となく再任される事となり、彼らが満州人の末裔であったことから第二の清国と揶揄された。とはいえ共産党による絶対的な支配は永遠に終局したのである。
●日本の戦後処理
日本列島はロシア、北米連合、インド、オーストラリアの四か国で分割統治されることとなった(北海道と東北地方をロシア、本州の関東と中部までを北米連合、九州地方をオーストラリア、そして近畿・中国・四国地方をインドが統治するとした)。この分割された地域は主権を回復しても統合されることはなく、日本という言葉自体過去のものとなった(なお、元日本人や日系ハーフは東亜人と呼ばれるようになり新たな民族アイデンティティーを構築していく)。
〇サハリン共和国

ロシアに軍事占領された北海道と戦後統治下に置かれた東北地方が、サハリン州と合併させられてできた連邦構成主体。ユジノサハリンスクを首都としておりロシア連邦軍が駐留している。ロシア人が多く流入しシベリアの中国人も移住してきているが、ロシア財政の都合でインフラの復興はほとんど進んでいない。政治は首長公選制で稲作が主産業。
〇東亜人民共和国

北米連合の統治下に置かれた本州の関東と中部からなる国。第二次世界大戦後と違い、連合政府は財政難で復興への関与が消極的だったため、その政治的空白を埋めるように東亜総連の生き残りとアメリカ人民共和国の残党が権力の座に着いた。日本共和国継承を自称しており憲法も日本国憲法(一条から八条を削除した状態で共和国憲法と呼んでいる)を採用しているが、復興を理由に施行は延期されており自由選挙も凍結状態にある。首都は東京。
大陸本土から移民した中国人とアメリカのチャイナパージを逃れてきた中国系アメリカ人が多い。東亜人(旧日本人)もいるが虫けらのような扱いを受けている。日本列島全体の領有権を主張し周辺国との軍事衝突が耐えない軍事独裁国家である。
〇ナインステイツ連邦

オーストラリアの統治下に置かれた九州からなる英連邦加盟国で首都はラックヒルズシティ(旧福岡市)。占領国の財政難で当初復興はほとんど進んでなかったが、先に復興を成し遂げた台湾や東南アジアからの移民の増加で独自の発展を遂げる。しかし次第に豪州移民(白人)との間に亀裂が生じるようになり、地域によっては肌の色の違いで分離政策が行われている(遅れてきたアパルトヘイトと揶揄される)。
〇自由東アジア連邦(FEAU)

インドの統治下に置かれた近畿・中国・四国地方からなる。インドの大国化と共に同地域も復興が進み、他の旧日本地域に抜きんでて主権を回復した。そのため国際社会では日本の後継国家と目されている。
新政府の重要ポストは最初FEARの幹部が就いた後、民主制へ移行しており、多様な政党が存在している。政治体制はインドと同じ象徴大統領制で、初代大統領に元天皇が就任し戦後復興に取り組む住民の心の支えになった(任期満了後は元亡命日本人の計らいで復元された上京区へ移る)。首都はキュート(旧京都)。
人口は日本列島で最も多く、インドは勿論アジア各国から移民が相次ぎさまざまな文化が入り混じるエキゾチックな社会となっている。後に東亜人の新大統領が就任した後は東亜人民共和国を念頭に軍備を増強しており、東アジアで存在感を増している。
〇上京区国

FEAUの首都の中にある小さな立憲君主国。元亡命日本人の希望で復元された御所とその周辺の町々から成る。終戦後彼はFEAUの要職を断り、田舎の日本人宅に身を寄せていた元皇族や数百人もの天皇支持者達の協力を得て御所の復元に取り組んだ。そしてFEAU初代大統領としての任期を終えた元天皇を元首に迎え入れて独立を宣言する。古き良き日本文化(旧東亜文化と呼ばれる)の唯一の伝承地であり、建国二十年後にようやく正当な日本国の継承国に認められた。
著者追記(2026年1月2日)
以上の全10章にわたるシナリオは「日本が中国の属国になったらどうなるか」「衰退していった日本はどうなるのか」について、他の歴史的事例(対ベトナム戦泥沼化、冬将軍による対露戦線崩壊)や過去にありえたシナリオ(第二次世界大戦後の日本分割統治案)、将来起こりうる新たな兵器や戦争の形(ウイルス兵器、宇宙戦争)、そして2010年代後半に噂として出回った中国の戦争計画「六場戦争」を参考にして創作したパロディであり、今の平和や国家の存続が永遠に保証されていないことを示す警鐘でもあります。その一方で「属国になって終わり」とはせずに、自由を渇望する人々の抵抗の成果によって中国共産党独裁体制も崩壊するという、シニカルなストーリーでもあり、親中派が図らずも「戦争協力者」になってしまうという、日中友好論へのアンチテーゼでもあります。
実際は史実と異なる展開が多く存在し、特にウクライナ戦争は世界情勢や日本の政治に大きな影響を与えたため、私が描いたシナリオとは違った流れになっております(それは日本にとって良いことです)。その一方、AIの発展や中国の少子化など、予想を超えて早く進んだものもあるため、この「シミュレーション戦記」は私の中では過去の創作物の一つとして、その役割を終えた形となりました。今回、はてなブログをアーカイブ化するにあたって、一部表現や矛盾したところを修正し、ここに残すことに致します。ただ将来への不安や中国への嫌悪感を募らせるのではなく、新たな時代の流れで自分がどんな役目を果たせるのかを想像するきっかけになればと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。もしよろしければ、最新の考察レポートをnoteにて掲載しているのでご覧ください。